文書とひと口にいっても、業種や所属している部署によって文書の様式はもちろん、形式が異なっています。
報告書という言葉一つとっても、システムエンジニアが書く報告書と営業マンが書く報告書では、その内容もその書き方も異なるのは、業種が違うので当然のことです。
また、報告書でも業務報告書やトラブルやミスの再発予防のための始末書など、様々な書式のものもあります。
文書作成に苦手意識を持つ人は、これらの文書を書くのに、頭を抱え込みアイデアを絞り出すようにして書いているのではないでしょうか?
きっと内心では、そんな文書作成が苦手!こんな作業なくなってしまえばいいのに!と文書作成に嫌悪感すら抱いてしまいそうになっているのでは?
今回ご紹介するのは、どんなに文書作成が苦手な人でも、上手にまとまりある文書を作り上げられる方法です。
文書作成にそれほど苦手意識がない…そうした人であれば、さらにスキルが上げられる方法ですので、是非ご一読くださいね!
1.どうして文書作成が上手な人と下手な人がいるのか?
業務上頻繁に使う日報、週報、月報、客先へのトラブル報告、客先や別部署へのメール、さまざまな様式、書式の文書が会社にはあります。
多くの文書作成は、普段の業務のルーティンの一部に組み込まれていて、フォーマットやテンプレートを使っていることが多いでしょう。
フォーマットを使うことや文書の使い回しは、効率という観点で見れば必要なことです。
なかなか筆が進まない(タイピングが進まない)のに、何分も何十分も時間をかけるくらいなら、既存の型に当てはめ、それなりの体裁を保ち、読み手に分かる内容にしてしまえるならば、それもまた上手な文書作成の一つでしょうし、業務もスムーズに進みます。
しかし、その効率を上げる方法は、時に弊害を生んでしまいます。
それは、文書作成が苦手な人にとっては、いつまでも文書作成スキルが向上しないというものです。
文書作成に苦手意識を持つ人は、極力一から文書を作ることは避け、テンプレートを使い、穴埋めして仕上げたり、誰かの似た文書を使い回したりして、何とかその場を乗り切っているのではないでしょうか。
あなたはどうでしょうか?
わかるわー、俺(私)もそうだという人、何となく誤魔化してるけど本当は一から作るのは苦手なんだよなぁという人もいるのではないでしょうか?
私事で恐縮ですが、私が会社勤めをしていた頃の話を少しさせていただきますね。
当時、私は管理職をしており、部下に報告書を書いてもらう立場にいました。
部下のなかには、文書を書き慣れていない人、文書の組み立てが下手な人、文章そのものが成り立っていない人など、いろいろな人がいました。
そうした人たちは、一様に文書作成に対し苦手意識があったので、その作業を早く終わりたいがために、ほぼ全員が一発書きで提出をしてきました。
もちろん、本人なりに読み返し、誤字脱字がないよう細心の注意を払ったうえでです。
ですが実際には、赤ペン先生のようにあちこち添削され、結局書き直す羽目になり、無駄な時間を過ごすことになっていました。
また、文書作成が苦手な人は、ビジネスメールにも苦手意識を持っていましたので、送信前にチェックし、書き直してもらうこともありました。
部下のなかには、文書作成が得意な人もいましたし、得意というほどではなくても特に注意するほどでもない人もいました。
どうして、このように文書作成が上手い人、下手な人がいるのでしょうか?
それを個性と言ってしまえば、身も蓋もありません。
業務上、最低限の処理ができる程度には文書作成能力は必要だからです。
会社は、学校のように一つ一つ時間をかけて成長を促す立場にはありませんから、スキル向上は本人たちで行ってもらうことになります。
では、文書作成が上手・下手の違いとは何なのでしょうか?
- 文章の書き慣れ
- 目的の明確さ
- 自分の思考を言葉に換えて表現する力
- 自分の思考を論理的に組み立てる力
大まかに分けると、このような違いがあります。
「文章の書き慣れ」とは、経験値ですから、今すぐどうこうできるものではありません。
今回ご紹介する内容は、そうした経験値がなくても、上手な文書が書ける方法ですので、ご心配なく。
それでは、いよいよ次項より具体的な方法をお教えします!
2.一発書きはしない
文書作成が苦手な人にありがちなこと。
それは、一発書きで早く終わらせようとするということです。
率直に言います。
文書作成の苦手な人が、一から作り上げる文書を一発書きをしたところで、相手に伝わる文書を書き上げられることは稀です。
まず、文書が苦手だ!という人は、一発書きすることをやめましょう。
特に、一から文書を作り上げなければならないなら、尚更です。
結果的に、時間の無駄になります。
では、どうすればいいのか?
PCが普及してからは、経費削減や資源保護等によりペーパーレスが推奨もしくはペーパーレスが当たり前となっている会社も多いことでしょう。
それに、文書作成は専用ソフトや専用アプリを使って、直接入力することが一般的でしょう。
しかし、文書が苦手な人は、PCを前にすると「まず、どういう言葉から入力しようか」と頭の中で文章を組み立てようとします。実は、これが失敗のもとなのです。
周囲から白い目で見られるかもしれませんが、こういうときこそアナログ方式でいくのです。
スマホ世代の人にとっては、アナログ方式と言われてもピンと来ないかもしれません。
アナログ方式とは、つまり頭の中のアイデアを、紙とペンで表現するということです。
しかし、それらは必ずしも紙とペンでなくても良いのです。
スマホのドローイングアプリでも問題ありません。
要は、自分の頭の中に浮かんだことを、罫線や文書の体を気にせず、書きなぐれる状態であればいいのです。
なぜ、そのような事をわざわざするのかと言うと、理由は簡単です。
人間は、頭の中にあるアイデアなどの一つのキーワードから枝葉を作り、幾つものキーワードをそれぞれの枝にぶら下げています。
たとえば、「仕事」というキーワードがあれば、そこから伸びた枝の一つに「文書作成」というキーワードがあり、さらにそこから伸びた枝には「報告書」、「文書作成」から伸びた別の枝には「ビジネスメール」といった具合です。
キーワード単体だけでは、まだ文書の体を成していませんから、自分でキーワードを集めて、一つの意味の通る文章にしなければいけません。
ところが、文書作成が苦手な人というのは、頭の中に言葉のアイデアはあるけれど、それをうまく文章に変換できなかったり、文書の体を気にしすぎて文書自体にまとまりがなくなってしまい、結果お粗末な報告書(メール)を作ってしまっています。
あなたはどうでしょうか?
文書作成が苦手だからこそ、急がば回れ。
さあ、今すぐ紙とペン(あるいはドローイングアプリ)を用意してください!
3.目的は何かを明確にしておく
文書作成が苦手な人の文書を読むと、何を伝えたいのかがわからないものもありますね。
その次に、不要なコメント(主観的感想など)が入っていたり、文体が統一されていないことも読みにくさ、伝わりにくさに繋がっています。
こうなってしまう主な原因は、
- 読み手(伝えたい相手)のことを考えていない
- 主観のみの内容で、文書の本来の目的を見失っている
- 書き上げたことへの自己満足で提出する
この3つのポイントにあります。
これらを解消するには、まず「書く目的を明確化すること」から始めます。
書く目的?
そんなの上司や客先に出す報告書(メール)だよ。
そんな声が聞こえてきそうですが、それはあくまでも書類様式であって、目的ではありません。
目的とは、すなわち「誰に何を伝えたいか」ということです。
たとえば、上司宛にメールで業務報告をするならば「上司に何があったかを簡潔に伝える」ことが目的になります。客先に出す報告書であれば「お客様にどうであったかを伝える」ことが目的となります。
そんなことわかってる!
そんな声も聞こえてきそうですね。
文書作成が苦手な人は、これで目的を明確化したと考えてしまいがちです。
しかし、文書を書くこと・伝えることが上手い人というのは、この一つの目的を更に細分化し、それぞれを目的として捉え、文書を組立て書き上げています。
たとえば「上司に何があったかを伝える」ということであれば、
伝える相手=上司
伝える内容=進捗内容
伝える方法=メール(あるいは報告書) ということになります。
報告書であれば、文字数を大きく気にする必要はないでしょうが、メールなら如何に簡潔簡素にまとめるかということも念頭に入れなくてはなりません。
念のため、メールだと簡潔簡素に書くという理由ですが、社内メールでボリュームのある文書が必要でしょうか?それならば、報告書で良くありませんか?
メールで業務報告をすることを上司から求められる真意とは、ひとまず状況を聞いておきたいという一次的な要素が強いはずです。
伝える内容についても、上司がどんなことを聞きたがっているのかに焦点を当てることで、伝わりやすいメール(報告)ができるのです。
また、客先に報告書を出さなければならない場合であれば、
伝える相手=お客様
伝える内容=5W2Hを基にどうであったか
伝える方法=報告書(あるいはメール) となります。
客先へメールで報告する場合は、こちらも簡潔な言葉で伝えることも目的の一つとなります。
客先の場合、一番注意しなければならないのが「お客様の理解できる言葉で誠意をもって伝える」ということです。
文書を書くのが上手い人というのは、意識的であったり無意識であったり個人差はあれど、そうした細かいところまで考えて文章を作っているのです。
文書作成が苦手な人にとっては、ちょっとハードルの高い話しのように聞こえるかも知れませんが、案外それほど難しくはありません。
むしろ、今までより簡単に文書を作れてしまうはずです。
では、早速実践していきましょう。
前章で用意した紙に「伝える相手」「伝えたい内容」「伝える方法」を横に並べて書いてみてください。
書けたら、それぞれの項目の下に「〇〇(伝える相手の名前など)」「△△(伝えたい内容)」「□□(伝える方法・手段)」を書いてください。
「伝えたい内容」は、相手にこれを一番わかってほしいというポイントを書いてください。
たとえば、仕事でミスした報告を上司に伝えたいというのであれば、「ミスしたこと」と書きましょう。客先にシステムトラブルなどで調査した結果を伝えるのであれば「調査結果」で構いません。
4.構成・骨組みを作る
構成と聞くと、なかなかピンと来ない人もいるかもしれませんね。
要は、文書の骨格となるものを構成といいます。
それでも、ピンと来ないという人は、このまま記事を画面に映した状態で上下にスクロールしてみて下さい。
文節分けがしてあり、その下に本文がぶら下がっていますよね?
本文は、それぞれ各文節のテーマごとにまとまっています。
このように、文節など話の土台(指針)となるものを骨組みと呼びます。
伝えたいことが見えていないと、この構成というのはなかなかまとまりません。
要点を絞り伝えるためには、文節にあたるものをつくり、文書の大まかなあらすじを組み立てるのです。
報告書にもいろいろありますが、業務報告書を例に挙げてみましょう。
業務報告書に書く内容は、業務についての進捗状況、問題提起・解決方法(会社によっては改善提案)などが求められているのではないでしょうか。
ですが、主体は進捗状況であり、問題提起・解決はあくまでも補足ですから、業務報告書には次のような組み立てを行います。
- 業務の進捗状況
- 業務の中で気がついた問題点
- 問題点に対する改善案
どうでしょうか?
骨組みや構成といっても、さほど難しくはないはずです。
入社してまだひと月も経っていませんという新卒社会人でなければ、大抵は一人で複数の業務を抱えているはずです。
複数の業務を並行して担っているのであれば、それに合わせて「1.業務の進捗状況」の項目を複数作ります。
【例】
1.業務(1)の進捗状況
2.業務(2)の進捗状況
3.業務(3)の進捗状況
それでは、先ほどのメモ書きの「伝えたい内容」の下に、項目を追加してください。
5.概略を書く
骨組みが出来上がったら次に、構成を更に掘り下げた概略を書いていきます。
概略というと、これまたつらつらと書いてしまう人がいますが、ここでは文書に入れ込みたいキーワードでも良いですし、自分がこの項目で何を伝えたいのかという一文でも構いません。また、大まかに文書にしても構いません。
あとから本文を書きますから、そのときに明確な方向性がわかる内容であればいいのです。
たとえば、業務1の進捗状況では「A社に対する営業状況」であれば、A社に対しどんなアプローチをしているか、どんな点で取引が滞っているのかなどです。
このように構成から文書を作るための段階を踏めば、文書作成が苦手な人でもまとまった文書を作ることができるようになります。
概略は、先ほど書いた各構成の下または横に書いておきましょう。
慣れてくれば、PCの文書作成ソフトやメモ帳などでここまでの工程をささっと書くことができるようになります。
6.肉付けする
さあ、いよいよ本文です。とはいえ、まだ提出できる段階ではありません。
ここでは、あくまでも本文を挿入するだけです。
頭の中である程度話がまとまっているなら、ここからPCに向かっても良いですし、まだどう書けばわからないというのであれば、先程の紙に続きを書いても良いです。
それは、あなたが書きやすい方法を選んでください。
それでは、概略のキーワードを使って、ひとまず自分なりに文章を書いていきましょう。
書くときに意識しておくものは「誰に伝えたいか」ということです。
丁寧語、尊敬語、謙譲語といった言葉遣いのマナーはさておいて、まずは本文を埋めていくのです。
ここでもまだ「どう書けばいいんだろう?」と手が止まってしまうのであれば、概略で書いたことを膨らませていきましょう。
たとえば、A社に対しどんなアプローチをしているかという点であれば、
Q1.実際に行ったアプローチ方法は何だったか?
Q2.そのアプローチで、どんな結果を得られたか?
Q3.より良い結果を得るためには、どのようなアプローチが有効だったか?
など、自問自答してみてください。
書いている途中でわからなくなってしまった!ということもあるかもしれませんから、自問自答の内容も紙に書いておくといいですね。
7.読み返す
文書作成の苦手な人がすっ飛ばしてしまうのが、読み返すという行動です。
「ちゃんと自分で読み返してみた?」と聞いて「読み返しました」という人は、読み返すという“行為”しかしていない人です。
読み返すことにも目的があります。
目的とは、次の通りです。
□誤字脱字はないか?
□読み手を意識したものになっているか?
□客先宛であれば、専門用語は使用していないか?あるいは、客先にわかる言葉に置き換えられているか?
□自分の主観が入っていないか?
□言葉の言い回しは分かりにくくなっていないか?
などです。
ここで過不足なく、簡潔に適切な言葉で仕上げられているなら、あなたは文章作成が苦手なのではなく、文書の組立が苦手ということですから、2~7までの項目を繰り返せば、あっという間に文書作成の上級者になれるでしょう。
目的意識をもって「読み返す」という行動をすることで、自分の言い回しなどの表現の癖もわかってきます。
ちなみに私は、回りくどい表現が多いです…。
ただ読むだけでは見えなかった問題点も、目的意識をもつことで「この説明はわかりにくいかも」「ここは違う言葉に変えられそう」といったことがわかります。
では、それらがわかったところで、今度は添削をしていきましょう。
8.言葉の足し算、引き算をする
人は、口語でも文書でもそうですが、それぞれ言い回しや表現の仕方に癖があります。
よく、名前のない文書を読んで「これ、〇〇が書いたやつだな」とわかるのは、そうした癖を無意識に知っていて、それを基準に判断をしているからです。
でも、他の人があなたの癖を見抜いていても、ライターや編集者といった文筆を生業にしている人でない限り、自分の文体の癖なんてものは把握していません。
ですから、他人に伝わりやすい言葉になっているかどうかを再確認するためにも、最低一回は必ず読み直しをする必要があるのです。
読み直しをすれば、無駄な言葉、くどい部分というものが少し客観的に見えるようになります。
自分では「これでOK」と思っていても、読み直してみたら「途中で論点がズレていた」「説明が回りくどくて、何が言いたいかわからない」といった問題点が見つかったりするのです。
これらは、文書作成を苦手とする人が陥りやすい問題点ですので、苦手意識があればあるほど、修正しては読み返すということを繰り返してほしいのです。
余談ですが、世の中に名の知れた作家ですら、自分が執筆したものを世に出す前に何度も読み返しています。それなのに、素人である我々が読み返さないなど、伝える相手を見下しているとしか言い様がありません。
9.その言葉の言い回しで、相手に伝わるかを考える
読み手を意識して読み返してみると、時々専門用語をそのまま使っていることもあります。
同じ業界人で、同じ知識を有する人が相手であれば、それはそれで通じやすいですから、言い回しとしては正解ということになります。
しかし、必ずしも相手に自分と同じだけの専門的知識があるかというと、そうでないこともあるでしょう。
そのような場合に専門用語を用いた文書は、読み手である相手に対して大変失礼です。
日記やSNSで一方的に呟くような場合を除いて、文書には読み手がいるということを忘れてはいけません。
どれだけ国語的に良い文書ができたとしても、相手にきちんと事実誤認なく伝えられなければ、その文書は残念ながら無価値となります。
文書を作成するのであれば、必ず相手に伝わる内容にしなくてはなりません。
では、あなたの作成した文書は、誰が読んでもわかる内容になっているでしょうか?
自分主体、自分の主観で判断するのではなく、相手の立場、相手の理解度を考えたうえで判断をしましょう。
普段から相手と接し、きちんとコミュニケーションがとれていれば、その判断は難しくないはずです。
10.語彙が不足した状態では、伝え方を誤りやすい
文書作成が苦手という人の多くは、活字に触れない生活をしているか、どこか他人事でネットニュースやメルマガを流し読んでいる人です。
文書作成に苦手意識があるのは、伝え方がわからない人でもあります。
伝え方がわからない人というのは、大きく分けて二つに分類できます。
- 語彙はあるが、文書の組立が苦手
- 語彙が少なくて、言葉の言い回しなど遣い方に偏りがある
前者の場合ですと、2~9を繰り返せば克服できます。
後者の場合は、語彙・言い回しなどの言葉の遣い方を身に付ける必要があります。
たとえば、言葉の遣い方一つで口論になったりすることがありませんか?
言葉の遣い方が、相手にとって理解できる言い方であれば、口論に至らずに済んだこともあるはずです。
つまり、言葉一つで相手に与える印象、理解度が変わってくるのです。
自分は後者のタイプだな、と思ったら、文章を意識して読むようにしてみてください。
特に、簡素にまとめるという点でいえば、ニュース記事はおすすめです。
言い回し、表現という点においては、小説、メルマガ、週刊誌、ブログなど他人の文章を読めるものであれば、どれでも大丈夫です。
それらを毎日意識するだけでも、随分と変わりますよ。是非、試してみてくださいね。
11.自分で定型を作り、ストックしておく
既存のフォーマットを使うことも業務効率化のためには良いのですが、他人が作った文書では、文書作成スキルは向上しません。
というのも、その文書を“使う”ことしか考えていない、そもそも既に文書が出来上がっていて穴埋めだけして漏れがないかを見直すだけで、文書そのものに対して読み手を考える必要がないからです。
人は、自分が苦労したことについては力として蓄えることができますが、楽をしたものに関しては、ある一定期間を過ぎれば簡単に忘れてしまいます。
ですから、最初の大変さをしっかりと自分の糧にできるように、自分なりにフォーマットを作っておくのです。
文書の構成についても同じことが言えます。
〔 1〕文書作成ソフトなどに、「伝える相手」「伝えたい内容」「伝える方法・手段」の項目を入力。
〔 2〕数行空けて「文節1」「文節2」と項目を入力。
〔 3〕文節ごとに「概略:」と入力。
〔 4〕概略の下に「本文:」と入力。
これで、名前を付けて保存をしておけば、今後何度でも利用でき、印刷すれば簡単に使えます。
他にも、客先ごとや業務ごとに一度作った報告書などのテンプレートを作っておけば、いちいち全てを打ち込む必要もありません。
既存のものと大差ないじゃないか、と思うかもしれませんが、自分で全てを作ることに意味があるのです。
自分で作ったものというのは、誰かが作ったものよりもずっと記憶に残ります。
それだけでなく、何をどのように手直ししたかということで、2~9までの作業を自然と繰り返すことになり、文書作成能力の向上に繋がります。
あなた自身が書いたものでも、時間が経てば、また違う視点、違う言葉で表現することができる箇所が見つかるはずです。
手直しできるところは、どんどん直していきましょう。
そうすることによって、文章を作ること自体に感じていた苦手意識を払拭できるようになっていきます。
これは、ビジネスメールも同様です。
12.文書作成能力なんて経験数でいくらでも上達する
今や当たり前のスキルのように言われている「文書作成能力」ですが、実際のところこの能力に長けた一般人なんて、ライターやブロガーぐらいのものです。
文書作成なんて、最初は誰だって戸惑いながらやってきているのです。
それが、何度も繰り返すうちに自分なりの形が出来上がり、それとなく上手くまとめているだけなのです。
文書作成でお金をもらうわけではないのであれば、「完璧に上手く」なる必要など全くありません。
誰でも隣の芝生が青く見えるように、文書作成が苦手な人から見れば、それなりに上手く文書をまとめられている人がすごく見えてしまったりしますが、案外上手にやり過ごしている先輩も文書作成が苦手だったりするかもしれませんよ。
文書作成が苦手な人というのは、文書を仕事の一部として書くだけで、文書を作る・文章そのものを書く機会が少ないのが、苦手意識に繋がっているだけです。
なかには、致命的に文章を作ることにセンスがない人もいますが、それであっても業務上の文書程度であれば、どうにか人に読ませられる程度にまではスキルを上げることはできます。
文書作成スキルを確実に上げたければ、2~9の手順を疎かにせず、ひたすら数を練習すること。
何度も何度も繰り返し、書くことによって上達していきます。
そうは言っても、仕事中にそんな時間はないよ。
そうでしょうとも。
ですから、通勤時間、自宅、トイレで個室に入っているとき(笑)いつでも、ちょっとした時間というものがありますから、そんなときに練習をするのです。
スマホ世代であれば、SNSでの呟きや写真投稿するときのコメント、ブログ…誰かに読んでもらう場を利用すれば良いのです。
今までは、自分を魅せるためだけに発信していた言葉を、読み手を意識し、読み手にわかってもらえるような言葉を綴る。
それだけでも、文書作成スキルが今までよりも上がります。
読み手を意識した文章を書くことに慣れてくると、言葉の表現方法にも意識が向くようになります。
一つの表現ですら文章にすれば幾通りもあるのです。どう書くのが正解ということもないのです。
語彙を増やし、言い回しや言葉の遣い方を知り、読み手がどんな相手であるかを想像することで、どういった言葉をどのようなタイミングで使えば、より理解されやすいかということを考え、一つ一つの文章を作る。
それらを考えれば、絶対に一発書きなんてことはできません。
会社の報告書やビジネスメールで、そこまでする必要があるのか?と思う人もいることでしょう。
私が前述した言葉を覚えている人なら、ピンと来るのではないでしょうか?
「文書作成が上手な人は、伝えるのが上手な人」
本当に文書作成が上手な人というのは、その時々で最適な言葉が分かっているので、普段の会話でも伝え方が上手いのです。
だから、上手に文書作成できる社員は、デキる社員でもあるのです。
今回ここでご紹介した方法は、作家や作家志望といった文章を書くことを仕事にしようとする人たちも行っているスキルアップの方法の一つでもあります。
そう聞くと、力がつくような気になりませんか?
一度目では実感できなくても、二度、三度と2~9を繰り返し経験を重ねていくことで、確実に力はついていきます。
きっと、上司も同僚も驚くはずです。
是非、試してみてくださいね!
ちなみに、お子さん方の夏休みの宿題「読書感想文」にも応用できますよ。
Originally posted on 2017年8月24日 @ 11:09 AM