部下に営業とは何かを教える時に、一から教えると時間がいくらあっても足りなくなってしまいます。それではどのように営業を教えれば良いのでしょうか?そのことが簡潔に書かれている本がありました。
営業の基本は脚である
営業の基本は脚であり、最初は質を求めるのではなく、量を求めるべきであります。そしてその時に注意するのは、必ず名刺の数量をノルマとして課しておきます。業界によっても違うかも知れませんが、基本的には飛び込ませるんで、一日10枚くらいを目安にするようです。最初は名刺交換が目安になっても仕方がありません。この時に、少ないと怒ってしまうと、営業に行くのが嫌になってしまうようです。大抵の人でも3枚くらいは持ってきます。それを、良く出来た、と考えるようにすべきなのです。そこでまずは名刺をどうやったら沢山集められるのかを考えさせ、教えるのだそうです。
初めの営業は何を言わせるのか
素人でもある程度は、会社が何を売っているかは分かります。そして全ての事は教えずに、あえて基本しか教えません。そして話してくる内容は、とりあえず「うちの製品は、安い、早い、良い」とだけ言ってもらいさらに名刺を沢山集める努力をしてもらいます。すると今まで門前払いだった営業の名刺収集能力が上がってきますが、それでも数枚は増えてくるそうです。
本当の営業は誰が教えるのか
上司が本当の営業を教えるのではありません。教えるのはお客様です。少々失礼な話になるかもしれませんが、怒るお客様、業界の世間話をしてれるお客様、宿題を出してくれるお客様がいます。これを分類して手伝ってあげるのが上司の仕事になります。怒るお客様は何に怒っているのか?は必ず聞くようにします。なぜ怒ったのか?服装か口の聞き方か?説明の仕方か?これらは丁寧の社会人としての教育をしていきます。
業界の世間話は最大の先生
その手の人に出会ったら、なるべく売り上げとは関係なく活かせるようにします。なぜならそのような人は年配の方に多く、暇なので若い人にものを教えたいのですが、社内では聞いてくれる人がいなくなってるので、話をよくしてくれるのです。偏ってしまってもしょうがないので、上司がある程度、見極めて活かせるようにします。そうすれば、上司が教えなくても、業界の常識、業界の知識、場合によっては製品の知識を教えてくれます。こうなれば、上司が教える必要はほとんどなくなります。
宿題を出してくれるお客様が、最大の味方。
決して会社で上司が考えて、あれを覚えろ、結果を出してみろ、と言っても時間が食われてしまいます。だからこそ、宿題を出してくれるお客様の課題解決を手伝ってあげるようにすれば、良いのです。そのようなお客様は、後々に大口のお客様になる可能性が高くなります。もちろん宿題をしっかりやればの話ですが。そこを見てあげるようにすれば、上司は宿題を考える必要も無くなりますし、宿題の答えはお客様が正確に出して、間違えを指摘してくれるので、とても手間が省けます。また、宿題をしっかりやってくる営業マンはお客様にすかれます。
このように上司が営業マンを育ててはいけないそうです。それよりもお客様の所にいかに沢山通わせて、話をさせるかが重要になってきます。
優れた営業マンだった上司は全て自分で教えようとしてしまいます。しかし、その方法が古かったり、その人に向いていない場合が多かったりした場合は通用しなくなってしまいます。それでは新人の営業マンにとってプラスにならず、マイナスになってしまい上司のかける労力もマイナスになってしまいます。
お客様がいい営業を育てるのであり、それを見守るのが上司の役目です。そのことに気がつかないと、会社にとっては利益を生まない営業マンが育つ結果になってしまい、せっかくのお客様が教えてくれるノウハウが身につかないどころか、可愛がってくれる将来性のあるお客様をつまむ事もできなくなってしまいます。
このようなことを避けるためにも、上司が営業を教えるのだ!という感覚を捨てて、お客様こそがいい営業マンを育てるのだ!ということを新人の営業マンに分からせることも大切です。
人にものを教えるのは思ったより労力がかかりますから、それをしっかり新人の営業マンがお客様のことを理解し、なんのために嫌なことがあっても通うのかを理解すれば、嫌なこと、上司の一見理不尽と思える、「お客様のところへ行け」という言葉の真の意味が分かり決して理不尽なん話では無くなります。
この方法はある意味お客様を利用している方法かもしれませんが、非常に理にかなった方法であり、お客様が先生です、と言われる所以だそうです。
これを実践した新人営業マンと、実践しないで上司が育てた営業マンには脚の力が本当について非常に、腰がしっかりした、腰の軽い営業マンが育ちます。営業マンは本来お客様のところに行ってこそ、その成果が発揮できます。
営業マンの最大の基本は脚!だそうです。
Originally posted on 2017年3月28日 @ 2:27 PM