eコマースサイトが始まったのは、20年以上も前のこと。アマゾンの最初のオンライン書店が開設されたのは1995年のことでしたが、今日世界のeコマース業界には、1兆9000億ドル(約112兆円)(https://www.statista.com/statistics/261245/b2c-e-commerce-sales-worldwide/)近くの価値があると言われています。
しかし、これらのeコマースプラットフォームが今のように大きくなったのは、つい最近のことです。 時代、トレンド、テクノロジーの変化で、eコマースは今やデバイスやニッチな製品分野にまでも広がっています。eコマースプラットフォームが成長するにつれ、顧客のセグメンテーション(分類化)戦略が、顧客とのより良いエンゲージメントを生み出すもととなってきています
eコマースマーケターは、まず最初に顧客の年齢、性別、人工統計などを理解する必要があるということは、もう言い尽くされていますね。それが今日では人工知能(AI)を使った、メタデータ、セマンティック分析、コラボレーティブ・フィルタリング、予測の推奨などを使用して、顧客の分類化をより強化し、コンバージョンを増やしてプラットフォームを拡大するほどになっているのです。
人工知能(AI)は、今日どのように顧客のセグメント化(マーケティングや人工統計から似た個人同士をグループ分けすること。たとえば、性別、購入傾向、年齢層、特別な興味や嗜好に応じて、潜在的な顧客をグループ分けすること)をし、マーケターの労働を簡略化していくのでしょうか。
eコマースのための人工知能(AI)
人工知能(AI)がどのように、あなたの顧客をよりよく知り、eコマースプラットフォームを最適化して、パーソナル化した1対1の方法で販売やコンバージョンを促進するのに役立つのか。ここでは、欧米にすでに登場しているeコマース経験に革命を起こすような方法のいくつかをご紹介していきましょう。
1.パーソナルショッパーV2.0
あなたが買い物に行くと、お店にいる販売員があなたのパーソナルショッパーとして買い物の手助けをしてくれるはずです。しかし、お店の人があなたが探しているものをうまく理解してくれないと感じることはありませんか。そんな時あなたは、買い物リストをキュレートする別の方法が欲しいなと感じるでしょう。人工知能(AI)はそのすべてを持っているのです。
バックパックやアウトドア用品のブランドであるThe North Face(https://www.thenorthface.com/XPS)は、IBMのAIエンジンWatsonと結びついて、あなたのジャケットの購入経験を調整しています。多くの利用者は、ワトソンと話をしながら気に入ったジャケットを探すのは素晴らしい経験だったと感想をもらしています。あなたもこのサイトを訪れて、実際にそれを味わってみてください。
まず画面下の「LET’S START」ボタンをクリックすると、「いつ、どこでそのジャケットを着たいですか?」という最初の質問が画面上に現れます。
簡潔に「3月の山歩き」と答えると、今度は「オーケー、それにピッタリなジャケットを探してあげましょう。どんな気候から守られたい?」という次の質問が出てきます。
答えは三択式で「マイルド」、「寒い」、「冷え込む」の中から選べます。「寒い」をクリックしてみます。すると、「男性用、それとも女性用?」という次の質問。「男性用」と答えると画面の右側にサンプル製品の画像が現れます。「どんな活動をするの?」の質問に「山登り」と答えれば、「岩登り用のジャケットだ。防水も必要?」と次の質問。「必要だ」と答えれば、さらに追加画像が現れて、「好きなスタイルを選んで。複数選べるよ」と促されます。
このように基本的な質問に答えていくだけで、注文フォームに色やサイズ等を記入する手間なく、エンジンが顧客層の細分化をしてくれます。即座にカスタマイズされた結果が出て、それは私の好みに見合ったものでした。
このサイトは簡単な英語のやり取りで利用できますから、みなさんもぜひ試してみてください。なかなか興味深い機械とのインタラクションを楽しめますよ。病みつきになって、またこのサイトを訪れたいという人も出てくることでしょう。
ほかにはどんなツールがあるか:
Mona(https://www.monahq.com/)は、iOS専用アプリです。ダウンロードすると、260以上の信頼のおけるショッピングサイトを検索して、好みの製品を見つけることができます。
Wazzatlabs (https://fashion.wazzatlabs.com/)は、AIで強化されたファッションキュレーションプラットフォームで、あなたのPinterest(画像のスクラップに特化したSNS)からの服を保存して、ウェブ上の製品とマッチさせ、自動的にルックブック(あなた独自のカタログ)を管理してくれます。ファッションに興味のある方に大好評です。
2.分類インテリジェンス
分類インテリジェンスは、今日のeコマース店舗で、売上、提供、価格面での競争優位を維持する最適な方法です。 分類インテリジェンスプラットフォームは、競合他社を分析して、カタログの管理方法、カタログの特長、価格付けや在庫管理によるベストな運営の実現方法を伝えてくれます。
画像はこのように見えます。左から「ブランド名」、「製品数」、「ライバル店とオーバーラップする割合」、「ライバルの製品数」、「アマゾンとのオーバーラップ度」、「アマゾン・マーケットプレースとのオーバーラップ」となっています。
Image: Upstream Commerce
どんなツールがあるか:
Upstream Commerce(http://upstreamcommerce.com/products_/assortment-intelligence/)は、あなたの競争相手がカタログをどのように管理しているかを理解し、品揃えを最適化するのに役立ちます。
Dataweave(https://dataweave.com/)は、適切な製品を宣伝し、人気商品の在庫状況を改善し、競合他社のプロモーション戦略を理解し、マーケティングROI(投資対効果)を最適化し、アナリティクスを使用して迅速な意思決定を行います。
3.製品の推奨事項
あなたが商品の大海の中から好きな製品を見つけ出した後、起こりうる最善のことは何でしょうか。 答えは「また同じようなものを見つけること」ですよね。でもそれはあまり起こりません。 人工知能(AI)と機械学習では、今までの顧客セグメンテーション戦略を超えて、1対1レベルでユーザに役立つインテリジェントなカスタマイズ化された推奨事項を作成することができます。つまり、今まではあなたと同じ年齢層の同じ趣向の人たちと同じ商品を推薦されていたものが、これからはあなただけにカスタマイズされた製品が推薦されるというわけです。
人工知能ソフトはオンラインで注文できるコンテンツ、衣服、食品など顧客が望むものを何でも、思考を学ぶ高度なアルゴリズムを使用して予測することができます。
どんなツールがあるか:
Boomtrain(https://boomtrain.com/)は、eコマースでのパーソナル化した1対1の推奨のために役立ちます。
4.ビジュアル(視覚)検索
人工知能(AI)で動くビジュアル検索は、あなたが製品の写真を撮るだけで、あとはAIエンジンがすべてを引き受けてくれます。似た色の服の検索、スタイル、パターンまですべて。
一部のビジュアル検索プラットフォームでは、eコマースプラットフォームが商品データベースのタグ付けを助け、通常の店舗で撮影された写真をもとに、eコマースストアへの商品の推奨も行っています。
どんなツールがあるか:
Mad Street Den(http://www.madstreetden.com/)のビジュアル検索と推奨技術は、衣服を分析し、視覚的に似た服を引き出し、タグを付け加えます。手動タグはもう不要です。
Twiggle(http://www.twiggle.com/)のビジュアル検索プラットフォームはベータ版ですが、Ali Baba がすでに投資を始めています。
Slyce (https://en.wikipedia.org/wiki/Slyce)モバイルとデスクトップの両方に画像認識技術を使用して既存の製品の認識を有効にするか、単に写真をスナップすることによって有効にします。
5.会話型コマース
昨年初め、ハッシュタグの発明者として知られるクリス・メッシーナ氏は、2016年は会話コマースの年になると予測しました。彼は部分的に正しかったと言えます。今ではボットがコマースの現場に爆発的に登場し、FacebookがメッセンジャーのAPIをボットフレンドリーにし、オンラインの小売りやサービスのウェブサイトが会話型の商取引ルートを使うようになっています。
米ファストフードのTacobellのビデオ(https://boomtrain.com/artificial-intelligence-ecommerce-customer-segmentation/)では会話型コマースを使用して、メッセージングアプリのslackから食べ物を注文する方法を説明しています。「人工知能を使っているから、酔っ払いのスラング交じりのオーダーだってちゃんと理解できる。これは毎時ごとにますます賢くなっているんだ。お次は何が登場するかな」というのが、このビデオの閉めくくりです。本当に次はどんなツールが出てくるのか楽しみですね。
参考記事
https://boomtrain.com/artificial-intelligence-ecommerce-customer-segmentation/
Originally posted on 2017年3月21日 @ 10:00 AM