eコマースを始めようとする人の頭の中には〝画期的な商品を売って、自分が本当に楽しめるものをビジネスにしよう″というビジョンが渦巻いているものです。
ところが、最初のそのような情熱にもかかわらず、中には何の行動も起こさない人がいます。
その理由には
「何を売ればいいのか、アイデアがない」
「失敗が怖くて、行動がとれない」
「アイデアはあるものの、その先へどう進めていけばいいのかわからない」
などが考えられます。
そこで、一銭もかけずに独自のeコマースビジネスを始めた人たちの例から、eコマースを成功させるために役立つヒントを探ってみましょう。
直面している問題に焦点をあてる
ブライアン・プリアンさんは背中を痛めてリハビリに通っていた時、正しい姿勢を保つことの大切さに気付いたそうです。一日中椅子に座っているような仕事は、喫煙同様に健康を害すると専門家たちも指摘しています。
プリアンさんは、椅子に座った時に正しい姿勢を保つための製品を作ろうと考えました。そしてできたのが、椅子の背に取り付けて使うBackplane です。
考えた製品が売れるかどうかの判断
いい製品のアイデアが浮かんでも、それが実際に売れなければ何にもなりません。プリアンさんは、製品を作る前に、人々にそれを買うかどうか尋ねて、アイデアの可能性を確かめました。
そして実際にお金を払ってこの製品を買う人を募ったのです。
これを先行販売と言います。先行販売することで、計画した製品に需要があることを確かめることができ、財務リスクを最小限に抑えられます。
プリアンさんの場合は、自身が最初のクライアントだったため、製品に効果があることも実感できて、それが後にセールスをする時の利点にもなりました。
オンラインビジネスのトレンド
新しいビジネスを始める時、自分の商品が本当に売れるだろうかと考え込んだり、市場調査をしたりすることに、多くの人は時間を費やしすぎています。
従来のビジネスにこれらは不可欠でしたが、いかに完璧に準備したビジネスでも、確実に成功する補償はないのです。ましてオンラインビジネスでは「いいアイデアには意味がない」と言い切る人も出てきています。
オンラインで大成功を収めているビジネスが、従来のビジネスと大きく異なるのは、正常に稼働し始めるまでお金や時間を投資することなく、次々にアイデアをサイトに立ち上げて、それらの中から芽が出たものを育てていくという文化です。
ウィキペディアは、「世界で一番大きな百科事典を、誰でも書き込みできる形で作る」というとてつもないアイデアをオンライン上に立ち上げて成功した例です。
若いオンライン企業家の中には、年に10ものオンラインビジネスを構築して、その中で成長したものを伸ばそうというトレンドがあります。
お金を使わない起業モデルの基本
プリアンさんはまず、カイロプラクターの勧めに従って、背筋に沿って発泡スチロールを施こす最初のプロトタイプを作って失敗しました。そのあと27回プロトタイプを作り直したそうです。
プリアンさんの採った方法は、
- 人々に彼らの問題は何かを聞いて、解決策を見つける。それを製品のアイデアにする。
- それを先行販売する。
- 顧客がいるところへ行って、それがどのように問題を解決するかを見せる。
という基本に焦点を当てたものでした。
どこに着眼するか
製品を作ろうとする時、多くの人は「解決」に焦点を当てています。プリアンさんは、人々が解決したがっている「問題」の方に焦点を当てました。(自分を含めた)潜在的な顧客の「ニーズ」から考え始めたのです。
このビジネスで直面した障害には、「製造コストを抑えるために安い素材で製品を作ったら、顧客の気に入らなかった」という例を挙げています。
しかし彼は、製品がうまく働くかどうかの方に重点を置いたと語っています。「製品は完璧にはなりえません。それよりも、それを欲しがる人を見つけることに焦点を当てれば、時間が経つうちに製品はおのずと進化していくものです。
それは、第一世代のiPodを現在のiPhone 6S と比べてみればよくわかるでしょう」と言われれば、なるほどとうなづけます。
失敗への恐れを克服する方法
ビジネスを始めようとする人は、何をするにも障害になりうる「失敗への恐れ」をやはり解決しておかなければなりません。EasyWheyという独自のプロティンドリンクを発売したダン・マイサノさんには、「コーヒーの挑戦」という恐怖を克服する練習方法があるそうです。
それは、スタバなどのコーヒーショップに行って、10%の割引を求めるという方法です。こういう思い切った練習をしておけば、ビジネスでも臆せず行動できるようになるのだそうです。
オンラインにもFailureGames.comやStrangerchallenge.comなど、同種の練習サイトがありますので、自分の快適ゾーンを乗り越えたい方は、試してみるといいでしょう。
オンライン企業家を目指す人へ
eコマースショップをすでに運営している彼らから、これからeコマースを始めたいと思っている人へのアドバイスを聞いてみると、「まず、早い時期に潜在的な顧客と会話をもって、顧客基盤を獲得すること。
彼らの中にある最も一般的な問題を見つけて、それへの解決を探す。それを製品にして、できるだけ簡単に人々が買えるようにする。
eコマースショップは、マニュアルでは対応しきれない顧客に対処する解決策であるべきだから」とプリアンさんは答えます。
外出時にシェーカーを持ち歩いてドリンクを作る不便さから、瓶入りプロティンドリンクを開発したマイサノさんも、アイデアができあがったところで、時間やお金を投資する前に、誰かが自分の製品を購入してくれるかどうかを調べたそうです。
こうして製品第一号を送ってほしいと30ドル(約3,100円)をペイパルで送ってくれた人が、実際に7人現れました。この事前販売のお金を製品を作るのに必要な物資の購入に充てることができました。
「オンラインショップを設置するのは簡単ですが、難しいのは顧客を得ることです。それを逆にして、顧客を得ておいて、あとでお店を作る方が何倍も簡単です。
大事なのは、あなたの理想の顧客がだれかを知ることです。顧客の目標層がつかめていれば、オンライン/オフラインのどこに彼らを見つければいいかもわかるからです」とマイサノさん。
各段階で大切なこと
お金を一切使わなくても、Paypal, Shopify, Gumroad や eventbriteを使えば、アイデアを先行販売することができます。大事なのは「誰に何を売りたいのか」をはっきりさせておくことです。
マイサノさんのビジネス開始時の収益は、月に1,000ドル(約10万3,000円)ほどですが、どんな利益も製品に再投資して、改良しています。「今のところ、私のところにいい製品があることが人々に知られることを最優先にしています。私の製品について知っている人が十分おり、彼らが製品に満足していれば、お金は自然に入って来るものだからです。」
Originally posted on 2016年9月10日 @ 1:25 PM