人工知能(Artificial Intelligence, AI)という言葉を聞いて、皆さんは何を思い浮かべるでしょうか。自動運転車、無人飛行機、ロボット…。人工知能(AI)は今やインターネットの普及以来のデジタル空間で、最大の革命になるだろうと予想されています。
2016年の世界経済フォーラムでも人工知能(AI)は取り上げられました。冒頭を飾ったビデオ(https://www.youtube.com/watch?v=VBceREwF7SA)の中に、人工知能(AI)とは何かの短い紹介がありますので、ぜひご覧ください。人工知能(AI)はもはやサイエンスフィクションではなく、現実のものとなっているのです。
しかし毎日取りざたされてはいても人工知能(AI)は絶えず進化しているために、私たちの理解は追いついていっていないようです。ここではマーケティングの観点から見た人工知能の可能性を、欧米の記事をもとにご紹介していきたいと思います。
昨年11月に従業員250名以上の企業の500人のB2Bマーケティングリーダーを対象に行われたオンライン調査では、80%の回答者が2020年までに人工知能がマーケティングに革命をもたらすと信じている結果(https://www.demandbase.com/demandgraph/)が明らかになりました。すでに導入している企業の98%は人工知能がマーケティングに与える利益を認めており、そのうちの60%は人工知能でより良い洞察を得られ、56%がより詳細な分析を得られ、53%が見込み客の識別を改善できると回答しています。
またこの調査では、人工知能の理解と採用の欠如も明らかになっています。人工知能を現時点で使用している企業は全体のわずか10%にとどまりました。
この調査結果には日本とのギャップもあるかもしれませんが、マーケティングの将来は人工知能の有望なアプリケーションで満ちているようです。 ここでは基本的に人工知能を使うとマーケティングをどう強化できるかというところから、見ていきましょう。
適切なタイミングで購入のきっかけを作る
トラッキングツールは今日ますます精巧になってきています。それらはユーザのすべての行動を追跡できますが、マーケティング担当者にとって実際に収集された驚異的な量のデータを読むことはかなりの挑戦です。「ビッグデータ」は、具体的な行動のためにそれを活用できるときにだけ使用されています。
ここに人工知能(AI)の出番があります。人工知能は過去のデータをレビューして未来を予知したり、今後の顧客の行動を予測したりすることができます。これによってマーケティング担当者は、時間とエネルギーをいつどこに費やせばよいのかを正確に把握することができるようになります。
今のところAgilone(http://www.agilone.com/)は、正確なトラッキングとそれに対応するアクションを組み合わせた最先端のプラットフォームと言えます。 この会社は小売業者のために、消費者の分析を行い、キャンペーン用の具体的な行動で利益を上げる手助けをします。
Agiloneは、2016年9月のアップデートでデジタル、物理、モバイルすべてのチャネルにデータを統合することを発表しました。これは、顧客とブランド間のすべてのやり取りがどこで起こっても識別され追跡されることを意味しています。この「オムニチャネル」のアプローチは、すべてのチャネルの旅をフォローして、ブランドのパーソナライズされた体験を顧客に提供する最善の方法なのです。
機械学習のおかげで、アルゴリズムは行動を予測する上でより改善されていくでしょう。マーケティング担当者は正確なタイミングで、リードが支払いへ進む可能性が最も高いときに適切な商品を提供することができます。自動化により、このアウトリーチは単独で発生する可能性もあります。
ビジュアル(視覚)アイデンティティの構築
Snapchatの顔交換など、市場に出回っている画像認識技術はすでにユーザを感嘆させています。 Googleはユーザの写真を使って自動的に分類し、スマートフォトアルバムを表示しています。
成功したブランドの多くは、ビジュアルコミュニケーションのための明確なガイドラインを持っているものですが、ブランドの管理者は、ガイドラインに見合った写真を見つけるのに苦労することがあるかもしれません。
ふつう、写真のキュレーションはコストが高く時間もかかります。EyeEm(https://www.eyeem.com/)では、このプロセスを自動化しています。EyeEm Visionテクノロジーでは、代表的な写真の選択に基づいて、8000万を超える画像カタログを検索し、目的のビジュアルスタイルに一致する写真を選択することができます。
意思決定のための情報にアクセスする
ボットは顧客との最も基本的なやりとりの管理で、顧客サポートに革命をもたらしています。GrowthBotis(http://growthbot.org/)はマーケターのために設計され、SlackやFacebook Messengerで質問に答えています。
よりスマートなボットは積極的に包括的なレポートを提供し、膨大なデータをレビューし、即座に実行できる関連アクションを提案します。人間のビジネスアナリストはもう要らなくなってしまいますね。
コミュニティ管理の最適化
今日ソーシャルネットワークで購読者の注目を集めることは困難になってきています。多くのソーシャルメディアマネージャーはIFTTT(https://ifttt.com/)のような自動化ツールの使用を開始しています。たとえば、すべてのソーシャルページにブログポストを自動的に公開するなど、特定のコンテンツの公開を自動化しています。 一部のツールは特定のプラットフォーム専用です。たとえば、 InstagramのInstagress(https://instagress.com/)は24時間年中無休でコメント、フォローする、フォローをやめるを行うボットです。
将来、人工知能はあなたの購読者のために魅力的なコンテンツを見つけ出し、それを自動的に中継して、クイックコンテストを組織し、メンバーと交流するようになるでしょう。今のところこの分野で最も有名な実験は、MicrosoftのTayボットです。実験の結果は混乱していましたが、実行可能なソリューションが利用可能になるのは時間の問題だと言えます。
この他にも、パーソナライズされた価格定義から広告ターゲティング、さらには音声認識まで、多くのドメインが存在しています。
今やマーケティングは人工知能(AI)によって支えられようとしています。大量のデータをレビューし、学習し、対応してすぐに使用できるソリューションを提供できる高度な分析プラットフォームも作られています。 人工知能をすばやく採用している企業は、この先の数十年で成長を促進し、より際立っていくことでしょう。
参考記事
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Originally posted on 2017年3月19日 @ 7:52 AM